「日韓友情の真実」を確かめよ

 

 日韓関係に暗雲が立ち込めて久しい。

 

 昨今の韓国側の対応などにやるせない思いを抱き、さらには「嫌韓」になってしまった方もいるかもしれない。 

 または、無批判な「親韓」の方もいることだろう。

 

 いずれにしても、日本にとって実に重要な韓国との関係を考える上で、3月に発行されたばかりの『「親日派」朝鮮人 消された歴史 終戦までの誇り高き日韓友情の真実』(拳骨拓史 著、PHP新書)をオススメしたい。

 

 評論家で東洋史の研究を行う著者の拳骨(げんこつ)氏は、本書の冒頭、慰安婦問題や徴用工問題など日韓に山積する問題を挙げながら、以下のように提言する。

 

  「私たちは親韓、嫌韓という、つまらない二つの呪縛から解き放たれなければならないこれを可能にするのは、日韓両国の苦難の道を乗り越え歩んできた先人の思いを知り、くみ取ることではなかろうか」と。

 

 本書では、「先人の思い」として、次のような人々をはじめとした、多くのエピソードが紹介されている。

 朝鮮人日本兵として終戦を迎えた老戦士や、若き朝鮮人特攻隊員たち、日本統治時代の朝鮮で「新日本主義」を説いた閔元植、小野武雄陸軍大佐と崔慶禄、戦後の韓国において「日本文化研究所」を死守し続けた朴鉄柱、著者の恩師・名越二荒之助(元高千穂商科大学教授)等々。

 

 崔慶禄が述べた「自分は韓国を愛するが故に親日派である」という言葉には、現在の韓国の人々も考えさせられるのではないだろうか。

 

 韓国併合の真相をはじめ、日本統治時代における日本人と朝鮮人との関係、そして、昭和の戦争における朝鮮の人々の思いなど、私たちも当時の事実に真摯に向き合う必要があるだろう。

 

 さらには終戦後においても、「日本人に暴行をする朝鮮人がいた反面、助けようとしてくれた朝鮮の人々がいたのも事実である。……暗い歴史をながめるだけでなく朝鮮の人々が(日本人を)助けようとしてくれた事実も見つめなければ、立体的に日本統治時代を捉えることはできないのではなかろうか」との指摘も頷ける。

 

 もちろん、日韓関係を考える上で、「安全保障の問題」も極めて重要だ。

 最終章ではまさにこの点が、次のように言及されている。

 

  「われわれは嫌韓だ、親韓だといがみ合っている場合だろうか。日韓の争いは、日米韓のアジア同盟体制の崩壊を望む中国の利益となる。中国は、韓国を崩すことが容易な目標とみなしている」。

 

 最後に、現在の日韓関係に悶々としているあなたに、著者の次のメッセージを送りたい。

 

  「私たちに必要なことは親韓でも嫌韓でもない。真実はその中間にこそあるこの国の未来を、日本の将来をどうするかだ。……日本の未来を拓くことができるのは、いまの私たちだけなのだ」。

 

 過去の「日韓友情の真実」を通じて、「韓国が好きか嫌いかという低レベルの話」から脱却し、私たちで、日本、韓国、そして両国間の未来を築いていこうではないか。

 

勝共UNITE