中国の軍事的な脅威と「日韓防衛協定」

 皆さんは、中華人民共和国の軍事的な脅威についてどれくらい実感がありますか?

 

 ニュースで日々、中国の漁船が領海内に入って来たとか、小笠原諸島まで来たとか、様々目にしているので、恐ろしいことが起きているというより、もう感覚的に慣れしまって、「あぁ、またか」と思うだけという方もいらっしゃるかもしれません。

 

 しかし中国政府は、物凄く恐ろしい計画を立てています。それは、一言でいえば、“世界の共産化”です。

 中国はいずれ経済的にも軍事的にもアメリカを超え、共産主義に基づき、世界の覇権を握ろうと考えています。

 

 まず、私が感じている中国の脅威について簡単に述べると、中国では近年、国防費が異常に増え続け、人民解放軍が所有するミサイルの数も増えています。

 

 そして何よりも、中国の覇権拡大が露骨になってきているという事実から目を背けてはいけません。

 中国の国防費がただ増えているということが脅威の理由にはなりませんが、中国の覇権拡大行為が見られる現状だからこそ、国防費の異常な増加が脅威と言えるのです。

 

 中国の覇権拡大行為は、日本の領海内に侵入して来たり、南シナ海の一部を実効支配してベトナムやフィリピンと揉めたりしていることからよく分かるかと思います。

 

 しかも、国際仲裁裁判所が何を言おうが中国は全く気にしていません。こうやって国際法を平然と破って、正規の手続きを踏まずに領土や領海、軍事拠点を増やそうとしています。

 

 さらにこのように支配を広げていく中国の計画の中に、日本の領土も含まれています。ただ、「日本が中国に攻められる」と言われても、あまり現実的でないように思えるかもしれませんが、歴史を振り返ってみると、可能性がないとは決して言えません。

 

 また、「このままの状態を保って日本から手を出さなければ、侵略なんてされないし、戦争なんて起きない」と考えている方がいらっしゃるかもしれません。

 

 しかし、今や中国の一部となったチベット自治区を見てください。チベット自治区はかつて独立国でした。仏教的精神に基づいて、他国を侵略せず、武器を持たなければ戦争は起きず、平和に過ごせると信じていました。にもかかわらず、その結果はどうなっていますか? 固有の価値観は否定され、約600万人のうちの5分の1の人たちが尊い命を奪われ、もはや独立国ではなくなってしまいました。

 

 中国の軍事的な脅威について、「日本と中国が現在、経済的に密接な関係にあるので、それを自ら崩す戦争なんてしないだろう」と言う方がいます。

 

 しかし振り返ってみると、第一次世界大戦前、イギリスとドイツは経済的に密接な関係にあったにもかかわらず、第一次世界大戦で敵国として戦ったという歴史的な事実があります。ですので、現在活発な貿易が行われているからと言って、必ずしも軍事的な脅威にならないとか、侵略行為や戦争が起こらないということは決して言えないのです。

 

 このように中国が露骨に軍事的挑発や侵略行為を行っているので、日本は戦争をしないための抑止力として、集団的自衛権の限定行使を認め、日米関係をより強固なものにするといった対策を講じてきました。

 

 ただ、日本の同盟国はアメリカだけで、アジアにおいては同盟はおろか軍事協定も結んでいません。ですので2012年以来、あまりニュースで目にすることがなくなった「日韓軍事情報包括保護協定」あるいは「日韓秘密情報保護協定」、アルファベットで通称「GSOMIA(ジーソミア)」と呼ばれる軍事協定を締結することを提案します。

 

 この協定は、日本国と大韓民国の間で秘密軍事情報を提供し合う時に第三国への漏洩を防ぐために結ばれるものです。

 そして最近になって、この協定を締結するために日本と韓国の両政府が交渉を再開すると発表しました。

 

 この協定は中国だけでなく、北朝鮮による核ミサイルの脅威にも大きな効果を発揮すると言えます。中国と韓国の関係が著しく悪化してきた今、日韓米で連携を強化することが再び現実味を帯びてきています!

 

 2012年に一度締結直前までいって延期になったこの軍事協定を、中国は非常に警戒し、反対していました。すなわち、覇権拡大を目指す中国にとって、この協定がマイナスに働くということです。

 

 アジアの平和や日本の安全を守るために、集団的自衛権の限定行使容認の次は、早期に「日韓軍事情報包括保護協定」を結ぶべきだと確信しています。

 

UNITE IKEBUKURO 女子大生弁士

(2016年11月3日の街頭演説より)